日本・世界における温暖化対策と個人ができる具体的な対策とは

温暖化とエコロジー

地球温暖化は私達のエネルギー消費など、人間活動によって引き起こされており、刻一刻と進んでいる世界的な問題です。
電気やガスといったエネルギー消費、またそれによって生じる温室効果ガスは、この温暖化の原因として知られています。地球温暖化を防ぐには、国レベルでの努力だけでなく、個人の努力も重要です。この記事では、日本と世界における温暖化に対する取り組みや目標について紹介し、国レベルでの温暖化対策の概要を知って頂くと共に、個人ができる地球温暖化対策について紹介しています。

日本での具体的な地球温暖化対策

まず、日本における地球温暖化対策について紹介します。

地球温暖化対策計画の概要

日本では、地球温暖化対策推進法に基づく政府の総合計画として「地球温暖化対策計画」が閣議決定されています。
環境省のホームページにある通り、総合計画として「2050年カーボンニュートラル宣言。2030年度において温室効果ガスを2013年度から46%削減目標」などの実現に向け、以下の3つの施策、対策が挙げられています。

1.再エネ・省エネ:地域に裨益する再エネ拡大(太陽光等)・住宅や建築物の省エネ基準への適合義務付け拡大

2.産業・運輸など:2050年に向けたイノベーション支援・データセンターの30%以上省エネに向けた研究開発・実証支援

3.分野横断的取組:2030年度までに100以上の「脱炭素先行地域」を創出・「二国間クレジット制度:JCM」により地球規模での削減に貢献

上記の三つは大まかな概要ですが、これらは「地球温暖化対策推進法の第8条第1項」と「パリ協定を踏まえた地球温暖化対策の取り扱い方針」に基づいて策定されており、気候変動問題は、すべての生き物にとって避けられない喫緊の課題であるとして扱われています。
また、「2050年までの二酸化炭素排出量実質ゼロ」を目指す地方公共団体は2019年9月時点では、わずか4団体であったのに対し、2021年の9月末には464団体と加速度的に増加しており、企業や金融機関においてもパリ協定を契機に脱炭素化に取り組む動きが進展しているという現状があります。このように、日本では、実に身近なところまで温暖化に対する対策と意識が広まっています。
更に詳しくはこちら:環境省ホームページ/地球温暖化対策/地球温暖化対策計画

国内での具体的な取り組みについて

次に、国内における地球温暖化への対策として、環境省が行っている取り組みの一部について、環境省ホームページから私達の生活に身近なものを3つ抜粋し紹介します。

1.温室効果ガス排出量の管理

 日本では、温室効果ガスの排出量を把握し、対策と削減量の確認を行うために、サプライチェーン全体と先進国、家庭部門など各部門ごとの、温室効果ガスの排出量の測定を行い、一部動向なども掲載することで排出実態を把握できるようにしています。

2.電気事業分野における地球温暖化対策

 日本では、電気事業分野において、温暖化対策の進捗状況の評価を毎年度行うよう取り決めがされています。電気事業分野はCO2排出量が日本全体の約4割を占めているため、電力業界に、地球温暖化対策のための自主的な取り組みと毎年度の報告を課しています。

3.再生可能エネルギー熱の導入促進による温暖化対策

 日本では、再生可能エネルギー熱の利用と発電の価格低減促進を行うことで、再生可能エネルギー熱、未利用熱、廃熱を利用する設備の導入支援を実施し、再生可能エネルギーを最大限導入できるように努めています。

このように、日本では私達の生活に身近なところで、CO2排出量を削減するとともに、再生可能エネルギーを最大限活用できるように支援を行うことで、総合的な温室効果ガスの排出量を抑えるといった地球温暖化対策が行われています。
他にも、さまざまな対策と導入が必要な支援について検討が行われています。
詳しくはこちら:地球温暖化対策の国内の取組|環境省

日本の経済的側面からの温暖化対策

日本では、先述のような環境的側面の温暖化対策だけでなく経済的側面からの温暖化対策も注目されています。
そのなかでも経済産業省では、温暖化への個別対策の1つとして、「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定しています。

この、グリーン成長戦略では産業政策・エネルギー政策の両面から成長が期待される14分野について実行計画を立て、カーボンニュートラルを実現するためのイノベーションに向けた企業の挑戦を後押ししています。

「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」

引用元:経済産業省 HP「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(広報資料)より

この後押しを受けている14分野のうち、「家庭やオフィス関連産業」に含まれる重点分野「資源循環関連」における取組は、私たちの生活に身近な内容で、ここではバイオプラスチックの導入や、リサイクル性の高い高機能素材、リサイクル技術の開発、高度化、回収ルートの最適化などが目標として掲げられています。

このように、家庭やオフィス関連の産業では、リサイクルに重点を置いた温暖化対策を行うことが出来るとされています。

世界での地球温暖化対策

ここまで、日本における温暖化対策について紹介してきました。次に、世界全体での地球温暖化対策について紹介します。

気候変動枠組条約

まず、初期に策定された温暖化対策のための動きとして「気候変動枠組条約」があります。

これは1992年に策定され、1994年に発行されました。気候変動枠組条約は、地球温暖化防止のための国際的な枠組みで、当時ECを含む154ヶ国が署名をしました。

この条約では、最終的な目標として温室効果ガスの大気中濃度を安定化させることを掲げています。また、枠組条約であったため、各国に対する温暖化防止の枠組みが規定されていましたが、具体的な削減義務については規定されておらず、その後、第1回締約国会議にて取り組みのための課題や手順を定めた「ベルリン・マンデート」が採択されました。また、第3回締約国会議では、先進国の温室効果ガス排出量について法的拘束力のある各国ごとの数値約束を定めた「京都議定書」が採択されました。

パリ協定

パリ協定は気候変動枠組条約第21締約国会議にて採択されました。これは、京都議定書の後継となる法的枠組みで、気候変動枠組条約に加盟する196ヶ国すべてが削減目標と行動を持って参加することを義務化したという特徴を持っています。

パリ協定では、2020年以降の気候変動問題に対し、すべての国が長期の温室効果ガス排出開発戦略を策定、提出することや長期的な目標として、「世界的な平均気温上昇を産業革命以前 に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること」 が掲げられています。

また、持続可能な開発目標SDGsのゴール13として「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。」という目標も掲げられています。

個人ができる地球温暖化対策の具体例

温暖化とエコイメージ

ここまでで紹介したように、世界的に地球温暖化対策がなされている一方で、一般のご家庭や個人ができる温暖化対策とはどのようなものがあるのでしょうか。

身近な地球温暖化対策

地球温暖化は人間活動によって生じる温暖化ガスが原因の一つとされています。そのため、エネルギーの消費をなるべく控えることや、排気ガスの排出量に気を使う事が私達が生活の中でできる温暖化対策であると言えます。

具体的には以下の4つなどが挙げられます。

1.お家でのエネルギー消費を控える:エアコンの設定温度を夏は28℃、冬は20℃にすることや、昼間や使わない時は、意識して電気を節約することで、電力を賄うために発生する温室効果ガスを減らすことができます。

2.水を大切にする:節水することで、お水の輸送、浄水場での処理などに必要なエネルギーとそこで発生する温室効果ガスを減らすことができます。

3.公共交通機関、自転車、徒歩で移動する:公共交通機関は、一度に多くの人を運ぶことができるので1人1人が車を使うよりも、1人当たりの温室効果ガスを少なく抑えられます。

4.マイバッグの活用:プラスチック袋は大量のゴミになるため、ゴミ処理の際に発生する温室効果ガスを増やす原因の一つとなってしまいます。マイバッグを活用することでプラスチックゴミを減らし、温室効果ガスも抑えることができます。

このような温室効果ガスの排出量を減らすための行動を、1人1人が継続して取り組むことで地球温暖化を防ぐことができます。1人1人のエネルギーの節約は微々たるものではありますが、沢山の人が少し意識を変えるだけで、大きな成果を挙げることができるのは間違いありません。

地球温暖化に対する取り組み例

海洋プラスチックで作られたプラダのバックコレクション

PRADAというイタリアのブランドでは、サステイナブルなバックコレクションを作る「Re-Nylon」プロジェクトが発表されました。

このRe-Nylonは世界中の海や埋め立て地から回収された廃棄ナイロン、魚網、繊維くず等を再利用した再生ナイロンのみを使用しており、サステイナブルであるとともに、製造過程では新たな石油資源も節約できます。また、結果としてCO2排出量の削減にも繋がるとされています。

アディダスの新シューズ「FUTURECRAFT.LOOP]

アディダスというドイツのブランドでは、新シューズ「FUTURECRAFT.LOOP」が開発されました。「FUTURECRAFT.LOOP」は単一素材で作られているため、履きつぶした後、回収して溶かすことで、このシューズの使用後に素材を100%リサイクルすることが可能であるシューズとして開発されました。このシューズから回収し直したプラスチックを原料の一部とすることで、新たにバックやボトルだけでなく、ランニングシューズなどの商品を作ることができるとされています。

帝人フロンティアのマテリアル・ケミカルリサイクルで生まれた「ECOPET」

繊維原料・衣料製品なども扱う帝人フロンティアでは、繊維からサステイナブルを考え、ペットボトルや繊維くずや裁断くずなど、従来廃棄されてしまっていた素材をリサイクルした、従来の物と品質が変わらない優れた糸「ECOPET」が1995年に開発しました。

「ECOPET」はケミカル・マテリアルリサイクル技術によって、ペットボトル・繊維くずなどをポリエステル繊維に再生することで、通常の石油由来原料ポリエステルを生産する際よりも60%CO2削減に貢献しています※。
※「素材・諸条件により削減効果は異なります。」

エコペット

また、「ECOPET」は豊富な糸と綿のバリエーションを揃えているため、素材から環境に配慮した従来と変わらないクオリティの商品開発を行うことができるため、各企業様にも取り入れて頂きやすくなっています。

まとめ

地球の温暖化に対して、日本でも世界でも温室効果ガスに着目した対策が行われています。
一般的なご家庭においても、1人1人が温室効果ガスの排出量を削減することで、大きな成果を上げることができる事は間違いありません。
これ以上地球温暖化を進めないためには、1人1人の小さな努力と積み重ねも重要となるため、環境へ配慮した行動を実際に行うことが重要です。
また、各企業がサステナビリティに配慮した製品を考案している事から、環境にやさしい製品を利用することも地球温暖化対策となるでしょう。

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