プラスチックごみ削減のための取り組み 日本の現状と私たちにできることは?

プラスチック製品

環境問題は、21世紀を生きる私たちにとって誰もが考えるべき重要な課題です。その中でも身近な例として、プラスチックごみによる地球環境への影響が懸念されています。食事や衣服など、私たちが毎日使う製品に用いられているプラスチックは、長い年月をかけて、海や大気などの地球環境へ影響を与えてしまうのです。

そこでこちらの記事では、プラスチックごみを削減すべき背景や、日本の現状、環境のためにできる取り組みについて解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

日本は世界2位のプラスチックごみ排出国

プラスチックは合成樹脂の一種で、加工しやすく軽い点が魅力の素材です。その使いやすさから、プラスチックは食品用の容器から衣服まで日常のさまざまな点で用いられています。

多様な場面で利用されているがゆえに現在問題となっているのが、プラスチックごみの廃棄についてです。2014年の調査では、日本は1人あたりのプラスチック容器包装の廃棄量が世界的に見ても多く、アメリカに次いで2位となっています。

プラスチックごみを削減すべきなのはなぜ?

プラスチックごみは地球環境にとって大きな懸念事項となっています。特に「海洋汚染」と「地球温暖化」への影響のために、私たちはプラスチックごみの削減を意識する必要があるのです。

プラスチックによる環境問題

海洋汚染への影響

海洋汚染の原因として、世界中から出る大量のプラスチックごみの一部が海へ流出することが挙げられます。人工物であるプラスチックは自然の中では簡単に分解されないため、劣化して細かく砕けても海の中を漂い続けます。特に直径5mm以下となったプラスチックごみが「マイクロプラスチック」と呼ばれるものです。

海洋生物がエサと勘違いしてマイクロプラスチックを食べてしまうと、海洋生物の命が脅かされます。また食物連鎖によって、その生物を体に取り込んだ生態系や人体への悪影響も懸念されています。

また、海洋汚染によって海洋生物が健康を害したり、景観が損なわれたりすると、漁業や養殖業、観光業への打撃も避けられなくなってしまいます。

地球温暖化への影響

石油からできているプラスチックの場合、製造時や廃棄時の焼却の過程において、温室効果ガスの一種である二酸化炭素が大量に発生します。温室効果ガスは太陽からの熱が宇宙に放出されるのを防ぎ、地球に閉じ込めることで地表を温めるのです。しかしこの温室効果ガスが必要以上に増加すると、地球温暖化が進行してしまいます。

そこで注目されているのが、再生原料を用いたプラスチック製品です。例えば飲料製品においては、使用済みのペットボトルを再度ペットボトルとしてリサイクルする「ボトルtoボトル」という取り組みがあります。また繊維製品においては、回収されたペットボトル・繊維製品、繊維くずなどを再生原料として作られるリサイクルポリエステルがあります。このような取り組みによって原料の石油依存を減らし、二酸化炭素の排出量を減らすことが期待できます。

プラスチックごみ削減に向けた日本の取り組み

日本政府の取り組み

日本はプラスチックごみの削減に向けて、プラスチックを循環可能な資源と捉え、環境に配慮しながら持続可能な形でプラスチックを利用するための取り組みを提案しています。

2022年4月から、プラスチック資源循環の新法である「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行されました。この法律の中では、「3R+Renewable」を掲げ、私たちの生活に不可欠となったプラスチックを資源として循環させていく必要性を強調しています。3R+Renewableとは、廃棄物を減らし(Reduce)、製品を繰り返し利用し(Reuse)、廃棄物を資源として有効利用する(Recycle)という「3R」に加えて、石油などの枯渇エネルギーから再生可能な(Renewable)エネルギーへの移行を意味しています。

また2019年には「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」が策定されました。これはプラスチックの有効利用を前提としながらも、新たな汚染を生み出さない世界の実現を目指すものです。経済活動を制約させることなくプラスチックごみの海への流出を抑えることを重視しています。

企業でできること

企業においては「製造事業者」「販売・提供事業者」「排出事業者」の全ての段階で3R+Renewableを意識することが重要です。製造時には設計段階で包装を簡素化したり、再生プラスチック・バイオプラスチックを利用したりすることが挙げられます。また販売事業者が自主回収拠点となることで、消費者がプラスチック回収に協力しやすい環境づくりが可能です。さらに「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」によって、排出事業者などが「再資源化事業計画」を作成し、国の認定を受けることで、廃棄物処理法に基づく業の許可がなくても、プラスチック使用製品産業廃棄物等の再資源化事業を行えるようになりました。

個人でできること

「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」では「プラスチックは、えらんで、減らして、リサイクル」が掲げられています。まずは日々の買い物の中で環境に配慮したプラスチック製品を購入しましょう。また使い捨てのワンウェイプラスチック製品を控え、マイボトルといった繰り返し使える製品を選ぶなど、プラスチックを過剰に使用しないライフスタイルを心がければ、使い捨て製品のごみを減らすことができます。そしてプラスチック製品の利用後は自治体の決まりに則って分別を行い、店舗や自治体、会社などでのリサイクルに協力することが重要です。

プラスチックごみ削減に向けて環境に優しい選択を!

現代の生活にとってプラスチックは不可欠

現代を生きる私たちの生活にとって、プラスチックは必要不可欠な素材です。したがって私たちは、持続可能なプラスチックの使い方を考え実践していく必要に迫られています。そこで重要なのが、一人一人の意識の積み重ねによるライフスタイルの変革です。最も身近なレベルにおいては、企業が環境にやさしい素材を選択し、個人が環境にやさしい製品を選択することが、プラスチックごみの削減に繋がります。

リサイクルポリエステル「ECOPET」

帝人フロンティアのリサイクルポリエステル、「ECOPET」は、石油ではなく、使用済みペットボトルやポリエステル繊維くずなどをリサイクルしたものが原料となっています。つまり、リサイクル原料を用いることで廃棄物を減らすことができると同時に、二酸化炭素排出量の削減にも繋がる素材が「ECOPET」なのです。

「ECOPET」は現在までに、衣料や生活資材、自動車内装材などの産業資材として、幅広い場面で採用されています。加えてSDGsへの意識が高まる中、再生素材は衣料購入の後押しになることもあります(※)。ある製品が環境に配慮しているか否かは、今や消費者にとって一つの購入判断の基準となり得るのです。

まとめ

今や私たちの生活になくてはならない存在のプラスチック。使い続けていくためには、地球環境との共存方法を探る必要があります。そのためにプラスチックの廃棄量を減らすには、自治体や企業、そして消費者個人が環境問題について知り、考え、行動することがとても重要です。

地球規模の環境問題は、一人一人の心がけの積み重ねに大きな影響を受けています。私たちの身近な生活の中でできることはきっと多くあるはずです。まずは身近なところから、環境問題を意識して行動してみましょう。

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