Interview

「急速に変化するリサイクル素材をめぐる環境」について、テキスタイルメーカー・サンウェル安永徹三氏が語る。

1966年に創業し、日本国内はもちろん、アジアにも拠点を置いており、ヨーロッパ・アメリカへの販売もしグローバルな展開を行なっているテキスタイルメーカー、サンウェル。

高い品質とデザインで、アパレルブランドやインテリアメーカーからも信頼を置かれている同社が近年力を入れているのが、サステナブルな社会を実現するためのさまざまな取り組みだ。

そんなサンウェルが企画・生産する高品質なテキスタイルにも使われているのが、帝人フロンティアが開発したペットボトルや衣料品、繊維くずを原料としたリサイクル繊維「エコペット」。

同社のサステナブルな取り組みと、なぜそこに「エコペット」が採用されたのかについて、上席執行役員である安永徹三氏に話を聞いた。


サンウェルが取り組んでいる、サステナブルな活動についてお教えください。

「エコペット」などのリサイクル繊維を素材として使うことはもちろんなのですが、サンウェルは生地メーカーであるため、アパレルやインテリアなどの各メーカーさんなどに環境に負荷の少ない生地の魅力を知ってもらい、採用していただくことが大前提となります。

そのため、パンフレットを製作して環境問題やサステナブルな取り組みについて周知を行うとともに、必要な時期に必要な量の生地を届けるためのストックオペレーションなども行なっています。

そのほかの社会貢献として、障がい者の方が描いたアートをテキスタイルにしたり、生地サンプルを回収してスワッチ1枚につき10円をコットン畑で働く子どもの支援に役立てる活動なども行なっています。

− メーカーさんからサステナブルな素材に関する問い合わせなどはありますか?

ここ1年ほどで非常に増えてきていますね。具体的に「こんなリサイクル生地を採用したい」というメーカーさんもありますが、漠然と「取り組まなければとは思い勉強しているが、具体的に何から行っていいかわからない」というメーカーさんもまだまだ多いと思います。そのような場合は、どんな生地を必要としているかをヒアリングして、適したリサイクル生地をおすすめするようにしています。

− いつ頃からリサイクルの素材を採用し始めたのでしょうか?

弊社がリサイクル繊維を本格的に取り扱い始めたのは2018年。2015年9月の国連総会でSDGsが採択されたのち、欧米で本格的に取り組みが始まった頃だと思います。

それまでリサイクル素材というのは粗悪なイメージがありましたが、実際には2018年ごろには質の高いものが既に実用化されていました。そのため、リサイクル素材の持つマイナスイメージを変えようというところから取り組みを始めたんです。

− なぜ、リサイクル素材として「エコペット」を採用されたのですか?

帝人フロンティアさんは国内外においても名前が知られていますし、「エコペット」も1995年から開発を続けている歴史のあるリサイクル素材。さらにトレーサビリティが取れており、GRS=グローバル・リサイクルド・スタンダードの認証を受けているものもあることから、自信を持ってお勧めできる素材だったからです。

− メーカーさんからは、具体的にどのような問い合わせや要望などがありますか?

具体的に「リサイクル繊維を使ってこんなものを作りたい」という場合は、サンウェルとしてその要望に適した生地を選んでお勧めしています。

例えば、企業や官公庁などがユニフォームや制服にリサイクル素材を使うことで、サステナブルな取り組みをアピールしたいというケースなどがあります。そのようなニーズにお応えするために、サンウェルではT/C(ポリエステルとコットンの混紡生地)のようなシワになりにくいユニフォームにも適したリサイクル繊維を使用した生地を開発するとともに、カラーバリエーションを増やすことを行なっています。

その一方で、ファッション系のメーカーの場合、生地自体のファッション性や機能性で判断されることが多く、ただリサイクルということだけでは選ばれにくい。そのため、「エコペット×ソロテックス」などの複合的な機能性もプラスされた生地のタグを作り、エコでありながら機能的であるということをアピールするようにしています。さらに、「エコペット」をミックスしたストレッチ生地をサンウェルで製作してブランディングするという動きもあります。

− ここ最近、各会社の意識の変化などを感じますか?

5年ほど前まではリサイクル繊維に対する抵抗感もあったように感じますが、ここ1年ほどで積極的に使う会社が非常に増えているように感じます。また、若い世代は意識も感覚も違い、エコを意識した商品の方がかっこいいという時代になってきていると感じます。

今後は既存の繊維をリサイクル繊維で置き換えることも進めていかなければならないのですが、正直なところ、現状ではリサイクル繊維の方が素材コストがかかってしまうという非常に悩ましい状況にあるのも事実です。

リサイクル繊維を使いながら、生地の感触や機能性でより魅力的なものを作っていくのがサンウェルの使命。そのために開発を続けてきた結果、最近は生地自体の魅力で選んでいただくことも多くあります。目指すべきはそんな「エコでありながら、機能性やファッション性で付加価値がつけられた魅力的な生地」だと思っています。

− 今後「エコペット」に望むことなどはありますか?

再生素材を継続して使うためには、常に安定した糸の供給があることが重要だと思います。さらに、サンウェルと帝人フロンティアさんがこれまで培ってきた技術を用いて、機能的・ファッション的に優れた糸や生地を共同開発することも行なっていきたいですね。

その上で、トレーサビリティの取れた「エコペット」という信頼できるリサイクル素材のブランド力を高めて、これまで以上に多くのメーカーさんに使ってもらうことが大事なのではないかと思っています。

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