Interview

BEAMS-メンズカジュアル部オリジナルのディレクター・影山達郎氏が手掛けた、「エコペット」仕立ての軽くて涼しいデニムパンツと開襟シャツ。

1976年創業、名実ともに日本を代表するセレクトショップ、BEAMS。

30以上のレーベルを擁するBEAMSの中でも、創業とともに誕生し、“BASIC & EXCITING”をテーマに日常に馴染むメンズのカジュアルウェアを提案するのが、BEAMSレーベルだ。同レーベルが2022年春夏シーズンにリリースしたデニムパンツと開襟シャツには、なんと「エコペット」が使われている。

その経緯と「エコペット」の将来性について、メンズカジュアル部オリジナルのディレクターを務める影山達郎氏に話を聞いた。


– 「エコペット」採用の理由について教えてください。

リサイクル素材であるという前に、生地の表情や質感に惹かれたということが正直なところです。「作りたい商品のために素材を選んだ結果、それが環境に配慮したものだった」という形ではありましたが、「エコペット」がサステナブルな素材であることは、私たちの商品を通して地球環境への配慮を考えていただける機会にもなっていると思います。最近ではリサイクルウールや環境に配慮したUSAコットンなどを採用することも多く、自然とリサイクル素材を使うことが増えている実感もあります。

– 今回は、「エコペット」でヴィンテージな質感を表現した商品をリリースするとのことで、まずはこのイージー オープンカラーシャツについて教えてください。

私の担当するBEAMSレーベルはアメカジをベースにしており、今季のオリジナルはヴィンテージやスクールのテイストをキーワードにしています。

ヴィンテージ感のある、レーヨンの質感のシャツを作りたいと思っていたところ、この「エコペット」の生地を見つけて。上品な艶感のある生地にワッシャー加工が施されていて、使い込んだ雰囲気がありながら、皺になりにくくイージーケアでいいな、と。

デザインとしてはベーシックなオープンカラーのシャツをベースに、ルーズなシルエットでトレンドの雰囲気も取り入れており、現代風のアメカジに使える一枚。デニムはもちろん、ブーツカットや細身のスラックス、さらにこれから紹介するデニムパンツとも合うのではと思います。

– では、その「エコペット」使いのデニムパンツもご紹介いただければと。

僕自身、本格的なデニムも好きなのですが、夏場はどうしても暑いのがネック。シャンブレーのような薄手の素材でデニムパンツを作りたいと思いながら探していたところ、この生地を見つけて。

タテ糸にはトレーサブル(追跡可能)なオーガニックコットンを使いつつ、ヨコ糸に「エコペット」を使っているのでセンタープレスも取れにくくなっています。

– ストレートのシルエットにセンタープレスが入っているのが今っぽいですね。

ステッチやプレスなど、ヴィンテージパンツに見られるディテールを取り入れながら、洗濯しても色落ちしにくいというハイブリッドな仕上がりになりました。

BEAMSのECサイトではスタッフのスナップを見ることができますが、この「エコペット」使いのオープンカラーシャツやデニムも、多くのスタッフがさまざまなテイストで着こなしていましたね。

スタッフも「エコな素材だから」というよりは、単純にファッションとして楽しんでいるのだと思います。作り手が「この素材はエコだから良い」と強く打ち出してしまうと、受け手は構えてしまうことも多いと思うんですよね。

– ファッションとSDGsは両立できると思いますか。

個人的には、できるのではないかと考えています。これまでのイメージでは、「エコペット」などのリサイクルポリエステルは化繊っぽさが強いのかな、と思っていたんです。でも今回BEAMSレーベルのオリジナルアイテムに採用するにあたり、さまざまな「エコペット」を使った生地を見させていただいて、そのバリエーションの豊富さに驚きました。今回採用した生地以外にも、天然繊維のような風合いをもった魅力的な素材も多く、自然と取り入れることができそうだな、と思っています。

僕らのものづくりは、まずデザインやディテールありき。今のBEAMSレーベルのオリジナルとしては、ファッションとのバランスを取りつつ自然な形でサステナブルな素材を採用していけたらと考えています。

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