Goldwin新井氏が語る「企業としての責任」と「ECOPET®を選んだ理由」とは
アウトドアのフィールドのみならずタウンウェアとしても支持されるTHE NORTH FACEや、海から山までさまざまなアクティビティを快適にサポートするHELLY HANSENなど、名だたるアウトドアブランドを擁する株式会社ゴールドウインがその名を冠したブランド、Goldwin。
1950年代よりスポーツウェアやアウトドアウェアを作り続け、1964年の東京オリンピックでは選手の8割がそのユニフォームを着用していたというGoldwin。その知見を生かしながら、0位現在はスポーツ/アウトドアのシーンだけでなく都市においても快適に過ごすことをコンセプトとしている同ブランドは、ECOPET®を使ったリップストップのアイテムを2021年SSシーズンにリリースするという。
前述のTHE NORTH FACEも担当し、現在はGoldwinを手がける新井氏に、企業としての環境問題への取り組み、そしてECOPET®採用の理由について話を聞いた。
– ゴールウイン社の「GREEN IS GOOD」をコンセプトとした、環境問題への取り組みについてお教えください。
ゴールドウイン新井氏(以下GW新井)
GW新井
ゴールドウインは、2008年より「GREEN IS GOOD」というコンセプトを掲げて、さまざまな観点からエコロジーやグリーン化に取り組んでいます。これは海外進出のためだとか、ニュース性があるからということではなく、企業として必須の使命だと考えています。例えば、グループ内のあるブランドは、2023年までに半数以上の商品の素材をエコロジーに配慮したものにする、という目標値を掲げています。
かといって、必要以上に高価格だったり、品質が低く快適ではない商品を作るというのでは意味がない。顧客の方に不合理を押し付けることなく、上質な商品をお使いいただくというのが理想ではないでしょうか。
– 本格的に取り組むようになったきっかけなどはあるのでしょうか。
GW新井
私がTHE NORTH FACEを担当していた10年以上前、当時は「エコロジーに配慮した商品=かっこ悪くて高い」というイメージがあり、そこから脱却を図らなければならないと考えました。そこで、素材からデザインに至るまで一つ一つ改善を測りながら、現在に至っています。
– 素材として帝人フロンティアの開発したECOPET®を採用していますが、そこに至るまでにはさまざまな試行錯誤などがありましたか?
GW新井
当社がアパレルを手がけているアウトドアやスポーツの世界は、軽量性ということが重視されるフィールドです。しかしながら、10年以上前の再生繊維には機能性を高めつつ品質を高いレベルまで極めることができていないように感じていました。そのほかにも、きれいに染まらないだとか、強度の点で劣るなどの課題があったように思います。
そこから10年が経ち、現在ではブランドが表現したいものをECOPET®などの再生素材で実現することができるようになった。これは帝人フロンティアなどの企業努力によるものだと思っています。
そんな努力に応えるためにも、当社には「エコ素材を使って洋服を作り、使えなくなったものは責任を持って回収し、リユースしたりリサイクルを行う」という道筋を決める企業責任がある、と我々は考えています。
– 今後さらなる課題などはありますか?
GW新井
ファスナーやボタンなど、現時点では技術的に再生が難しいものなどもありますから、それらは技術革新に目を向けながら処置を考える必要があります。
また、一般的な制服やユニフォームを回収しリサイクルさせるというのは普及してきていますが、スポーツウェアは汚れや傷みなどが激しいため、回収して再生させるのが難しい面もあります。それらは素材の品質耐久性を上げることによって消費のスピードを遅らせたり、再生しやすいようにすることもできるかもしれません。
– それでは、Goldwinブランドの、ECOPET®を使ったアイテムについてお教えください。
GW新井
まずは、ECOPET®を使ったリップストップのアイテムです。このリップストップ生地は発色や風合いも良く、綺麗な光沢と陰影が出るのが特徴で、非常に気に入っています。
これは私の経験則なのですが、生地とデザインがマッチしているものは「ヒットするな」とわかるんです。その勘でいうと、これは結構いけるんじゃないかな、と思っています。
– まずは、新井さん自身も気に入っているという、ポケッタブルのジャケット「Rip-stop Light Jacket」からご紹介ください。
GW新井
袖から胸元までワンパーツで作り、ファスナーの耳は見えにくいように縫っているため、非常にシンプルで洗練された印象のジャケット。バックパックを背負った時にもアクセスしやすいよう、ポケットの配置にもこだわりました。そこにラギッドなリップストップの素材感が加わるというバランスもいいのではと思っています。
GW新井
さらにフードの裏にポケットがあり、そこにボディを入れることのできる構造で、非常に収納しやすい。従来のポケッタブルウェアは小さくたたむのが難しいことも多かったことをきっかけに、THE NORTH FACEのスワローテイルジャケットをデザインする際に自分で仕組みを考えて、商品化したものと同じ構造です。
コードロッカーはゴムを引っ張ると動かしやすくなるという、シンプルな構造。パーツの数を減らすこともそうですが、破れにくいリップストップ素材を使うということもエコにつながると思っています。
同じ素材でタウンユースに向けたハーフコート「Field Hooded Rip Coat」もあります。シワになりにくいので、旅行や出張などにも持って行きやすいですし、春夏でも少し肌寒い時など重宝するアイテムですね。
– 同じ素材でハーフパンツ「Rip-stop Cargo Shorts」やハット「Rip-stop Light Bucket Hat」などもありますね。
GW新井
これらはゴールデンウィーク前にリリースされる予定なのですが、キャンプなどのアウトドアシーンはもちろん、ランニングなどにも自由に使っていただきたいアイテムですね。
GW新井
ハーフパンツには水抜きもついていますから、海や川で遊ぶ際もそのまま入ることができるし、サイドに大きな多目的ポケットがついているので、アウトドアギアを入れたりするのも便利です。
– さらに、これはECOPET®を使ったソックス「C3fit Arch Support Short Socks」ですが、アーチサポート機能があるのだとか。
GW新井
足裏のアーチをサポートするテーピング効果が膝や腰への負担をやわらげる、スポーツシーンからデイリーユースまでお勧めできるアイテムです。しかも国内生産でありながら2,000円以内の価格に抑えているため、リピートするお客様も多いですね。
ECOPET®を採用しているということはもちろんですが、耐久性の高い素材配置を考慮しているという点においても、エコな商品ではないかと思っています。
– ゴールウイン社として、リペア可能な自社製品は修理も行っているそうですね。
GW新井
Goldwinブランドとしては、手首やファスナー周りなど、傷みやすいところはできる限りリペアしやすいような構造にするようにしています。また、リペアの妨げとなるような部分に接着剤はなるべく使わないようにもしています。これらは材料や縫製にも関わってくることなので、常にデザイナーやパタンナーと話をしながら、意識づけしてもらうように努めています。
強度の高いウェアをヘビーユースして頂いて、部分的に破れたり壊れたりした時にはリペアする。それでも使えなくなった時には当社のショップにお持ち頂ければ、
なによりも大事なことは、続けることです。リサイクルやリユースすることを、社会全体の文化や会社のポリシーとしなければいけないと、我々は考えています。