Interview

ELEMINISTが「エコペット」で作ったニットバッグと、「かわいい」で繋ぐエコなアクション。

エシカルでミニマルなライフスタイルを生きる人たちをガイドするメディア、ELEMINIST。独自の視点で集めた国内外のサステナブルやエシカルな情報を発信し、ビジネスパーソンから環境問題に関心が高い人まで、多くの方々に支持されている。

そんなELEMINISTが帝人フロンティアとコラボして、「エコペット」を採用した抗菌防臭機能を持つバッグインバッグを企画し、好評を得ているという。

「エコペット」を採用した理由に加え、現在のファッション業界やリサイクルを取り巻く問題点について、企画に携わったELEMINISTの徳永瑠璃香氏との白鳥麻衣氏に話を聞いた。


ーELEMINISTのメディアとしての方針や、目指すことなどをお教えください。

徳永氏:メディア名のELEMINISTですが、これは「Enjoy Lifestyle Ethical & Minimal」という言葉の頭文字をとった造語です。エシカルでミニマルな暮らしを楽しむ人を「ELEMINIST」と呼び、そんな人を増やしたいという思いからELEMINISTはスタートしました。
ローンチから約4年半が経ち、ELEMINISTのコンセプトに共感してくださる方とたくさん繋がることができたのですが、まだまだ環境問題に関心を持ってアクションを起こしている層は多数派になっていないのが現実です。

今後も大きな方針は変わりませんが、問題について「知る」「考える」機会を増やすための情報発信はもちろんのこと、様々な人たちを巻き込みながら「共創」し、アクションに繋げることもキーワードに動いていきたいと考えています。メディアの枠に捉われず、環境問題にあまり関心のない人も「楽しそう」と思ってこの輪に入ってきてくれたり、「気づかないうちにエシカルな選択」をしていたりするような市場を作っていくためにできることは、私たちもどんどんトライしていきたいです。


ー今回「エコペット」を使ったニットバッグを製作したわけですが、ファッション業界に関して、感じている問題点などはありますか?

徳永氏:国内ファッション業界の「過剰生産・大量廃棄」については、ビジネスの在り方も購入する側の意識も、まだまだ模索していけると考えています。

フランスでは、2020年1月から企業に対して衣料品の廃棄が禁止される法律が施行されていて、売れ残りの洋服は寄付するかリサイクルすることが義務付けられているんです。

海外、特に、ヨーロッパ諸国に比べると、法律の整備なども含めて日本は少し遅れを取っていると感じる方も多いと思います。ただ、ここ数年で国内でも衣料品の循環の仕組みを作ろうとする企業が増えているだけではなく、帝人フロンティアさんのように何年も前から環境問題に対して熱心に取り組んでいる企業も実はたくさんあります。民間の中で「誰かが目を向けて解決し始めないといけないこと」に先に取り組んでくれている人たちがいるのに、それを応援しない、無関心な人が多い状況になってしまうことは避けなくてはなりませんし、私たちも含めた生活者が「何が本当にかっこいいのか」を今一度見直してみることが重要だと考えています。繊維やファッション業界における環境問題には様々な課題や議論がありますが、現状に落胆したり後ろ指を指したりすることよりも、創意工夫し問題を解決しようとする前向きな人たちや取り組みに焦点を当てて、日本ならではのサステナブルファッションの文化を作っていけると良いですね。


ー個人として実践している、サステナブルやエシカルなアクションなどはありますか?

白鳥氏: 衣食住どの分野に関しても、自分自身がいかに楽しみながらエシカルな暮らしをするか、ということを考えつつ実践するようにしています。

ー我慢をするのではなく、楽しみながら実践するということですね。

白鳥氏: そうですね。例えば、ファッションだとエシカルな素材を使用している衣料品を選ぶことや、古着を手にしたり、着なくなった衣料品をリサイクルに出すこと、そして汚れてしまった衣料品を自分で染めて新たな形で袖を通すことも楽しいですね。

日々の暮らしでは、契約する電力会社を再生可能エネルギーで提供している会社に変えたり、お肉を頂くときにはジビエや経産牛を美味しくいただいたりするなど、どれも楽しみながら実践しています。

実際に生活に取り入れる際に、誰がどんな想いで作っているものなのかを知れば知るほど知識や興味がより広がるとともに、さまざまなアクションへと繋がるきっかけにもなるかなと思っています。

ー それでは、今回帝人フロンティアと作ったECOPET®ニットバッグについて、企画に込めた想いや、ユニークなデザインの理由などをお聞かせいただければと。

徳永氏:これまでもELEMINISTでは、リサイクルポリエステル繊維「エコペット」を記事を通して紹介してきたのですが、「読者にもっとわかりやすい形でエコペットに触れてもらう機会を作れないだろうか?」と考えていたタイミングで、帝人フロンティアさんからお声掛けいただいたことをきっかけに今回のコラボレーションがスタートしました。

ELEMINISTとして、素材の段階からデザインを考えて商品にする、というのは初めての取り組みだったのですが、企画会議では「作る・使う・次の資源へ循環する」流れの中での最善のあり方や、この商品を手に取った人が感じもらえることなどを繰り返し話し合いながら帝人フロンティアさんと制作を進めてきました。

白鳥氏: 今回「エコペット」で作るとともに、バッグが役割を終えた後、リサイクルすることまで考えたいという思いから、単一素材で作ろうと企画しました。

「エコペット」はポリエステルですが、それをバッグにした場合に、ファスナーやボタンなどの付属品がポリエステルでないことも多く、付属品を使用するデザインにするとリサイクルがしづらくなるという懸念点がありました。付属品なしでもバックとして成立するデザインはどんな形なのか、というところから発想を広げて、風呂敷に似たこのようなデザインとなりました。バッグの形には本当にこだわりました。付属品をなくすことが最初の目的ではありましたが、結果的にとてもかわいい形になったと思います。

さらに、ヨガやジムなど運動のシーンや旅行先でも使っていただきたいとの思いから、抗菌防臭機能を持った帝人フロンティアさんの「エコピュアー」も使い、機能性もプラスすることで、より魅力的で長くご愛用いただけるものになりました。


ーマルチカラーの色みも素敵ですね。

白鳥氏:形とともにカラーもこだわって追究したポイントの1つです。海から色の着想を得たカラーリングとなっています。

濃い青の部分は深い海の色、白は波のしぶき、ベージュは砂浜の色、パイピングの緑は海藻など、海の風景の中から色を拾い、柔らかな印象になるように配慮しながら、色合わせしています。

結果的にユニセックスで使えるようなカラーリングとなり、男女ともに使いやすいデザインとなっていると思います。カラーにしろ、形にしろ、想いは色々と込められていますが、何よりもかわいく仕上がることを1番に考えました。気に入って長く使ってもらうことが大切だからです。


ー実際に使ってみたユーザーの方の声などはどのようなものでしょうか?

徳永氏:世界海洋デーの6/8にELEMINIST SHOPで販売を開始したのですが、すでに多くの方に購入いただいています。ELEMINIST followersや読者の皆様が集う「ELEMINIST MEET Vol.4」でお披露目した際や購入者のインスタグラムの投稿では 

「伸縮性があるため、見た目よりもたくさん入る」

「ミニバックとして使えるからさまざまなシーンで使えて便利」

「色みや形がかわいくて気に入っている」

「旅行用のシューズ入れとして使いたい」

「汗をかいたものを入れていてもあまり匂わない」

「浴衣用のバッグとして使うのもかわいいと思う」

などの声が寄せられています。

白鳥氏:私自身、運動や旅行の際にバッグインバッグとして使っているのですが、カバンの中が汗臭くならず、抗菌防臭機能の効果を実感しています。

徳永氏:この商品の販売をして以降、読者の方から「リサイクル素材や繊維と環境問題についてもっと知りたい」という声がELEMINISTに多く寄せられました。コラボ商品をきっかけに、繊維・ファッションと環境問題への関心が高まり知識を増やそうとしてくれていることを目の当たりにし、良い流れを作れていることを非常に嬉しく思っています。

白鳥氏:問題をみんなで共有することで、ソーシャルインパクトは大きくなっていくと思うんです。今回、単一素材でこのニットバッグを製作する中で、衣料品などの繊維製品のリサイクルというのは法律の関係もあってなかなか簡単にはできない、という問題点も見えてきました。

今回コラボで製作したECOPET®ニットバッグの「かわいくて機能的」というところが入り口になって、多くの人のリサイクルや環境問題に対する関心が深まって、さまざまな問題の改善へと繋がればいいなと思っています。

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