環境配慮設計の基礎知識! 効果や事例をわかりやすく解説

環境配慮設計

洋服、ソファー、絨毯などの製品は私たちの生活を豊かにしてくれます。一方で、これら繊維製品の製造には多くの資源消費、二酸化炭素の排出や化学物質の使用などが伴うこともあり、世界的に環境に配慮した取り組みが求められるようになってきています。その中で重要となるのが「環境配慮設計」です。
この記事では環境配慮設計とは何なのか、どのように活用したらよいのか、などをわかりやすく解説します。

環境配慮設計の意味と求められる背景

環境配慮設計という言葉を聞いたことがない人も多いはず。意味や背景について詳しく解説します。

環境に配慮した製品設計のこと

環境配慮設計とは、主に繊維製品の設計に関して求められる考え方です。2024年3月に経済産業省より「環境配慮設計のガイドライン」が公開されており、環境配慮等に関する表示ルールやグリーンウォッシュへの対応などが盛り込まれています。今後、より環境に配慮した繊維製品を増やしていくためにも重要な考え方といえます。

繊維製品への対策が重要な背景

ファッション業界は大量の水や多くの石油資源を消費することなどから、世界で第2位の汚染産業とみなされています。そのため、自然環境を保護・維持してくためには環境に配慮した繊維製品の拡大が重要です。
特に製品の大元にあたる設計段階から環境配慮を踏まえていれば、製品ライフサイクルの中で最終的にリサイクルしやすいなどのメリットが生まれてきます。ヨーロッパなどを中心に環境負荷に関する表示の義務化などが推進されており、世界的に求められている取り組みといえるでしょう。

環境配慮設計のキホン

環境配慮設計を実際に行っていくためには、どのようなポイントに気をつければ良いのでしょうか。そのキホンをいくつか解説します。

環境負荷の少ない材料の使用

地球温暖化や資源枯渇などの問題を考慮したうえで、環境に配慮した原材料を使用することが重要です。石油由来ではなく植物由来の化学繊維を用いる、農薬などの使用を削減した天然繊維を利用する、リサイクル原料の繊維を活用するなどの方法があげられています。
材料の選択は製品の環境負荷の大部分を占める内容のため、特に大切なポイントといえるでしょう。

温室効果ガスの排出抑制

製品を製造するためには、その過程で多くの電力、ガス、石油などのエネルギーが消費されます。環境に配慮した材料の選択だけではなく、これらのエネルギーを減らす取り組みにも注目することが大切
カーボンフットプリントの取り組み、GHG排出量算定報告公表制度、ライフサイクルアセスメントなどの取り組みがあります。

廃棄物の抑制

製品を製造する過程では素材を100%加工できるわけではなく、裁断くずや繊維くずが端材として発生します。また、製品として使用している中で、製品からマイクロプラスチックが発生し海洋に流出する可能性も。
これらの可能性を考慮して、問題を抑制できる製造工程の設計や新たな繊維素材の開発が求められています。

易リサイクル設計

製品を使い終わった後に容易にリサイクルできるような製品設計にしておくことも重要です。
現在の多くの繊維製品は複数の素材を混ぜた生地に加えて、ボタン、ファスナーなどの多くの部品で構成されています。リサイクルするためには部品を分別する必要があり、リサイクルのハードルを上げる原因にもなっています。
例えば、縫い糸だけが溶解しやすい、パーツごとに分解できる、単一素材で設計するなどの方法で製品設計をしておくことが必要です。

まとめ

持続可能な社会を実現するために必要不可欠な繊維製品の「環境配慮設計」。廃棄物の抑制やリサイクル前提の製品設計など、製品設計の中で今までにはない考え方を導入することが求められています。
まずはガイドラインに沿った取り組みができるか、検討してみてはいかがでしょうか。

ALL