企業のリサイクルの取り組みをピックアップ! サーキュラーエコノミー実現に向けた第一歩

リサイクル 取り組み

環境問題が深刻化し、持続可能な社会への転換が急務となる中、経済活動と環境保全を両立させる「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」が注目されています。特にリサイクルは、資源の有効活用と環境負荷低減に大きく貢献する重要な活動です。
この記事では、様々な企業が実践しているリサイクルの取り組みを具体的に紹介します。 

企業がリサイクルに取り組むべき理由

サーキュラーエコノミーの実現には、まず企業が率先してリサイクルに取り組む必要があります。その理由を説明します。

ライフサイクルを考慮して設計できる

私たちが使用する製品は、そのほとんどが製造業を営む企業が生産したものです。リペアしやすい設計や長寿命化はもちろんのこと、最終的にリサイクルする際のことも考慮した製品設計としておくことも重要

例えば、単一素材で製品を構成する、部品ごとに分解しやすくする等……。設計・生産する段階からリサイクルへの意識を高めることができれば、一般生活者からの回収を伴う必要もありますが、使い終わった製品を新たな資源として有効活用しやすくなるのではないでしょうか。

過剰在庫のリサイクル

企業は消費者がすぐに製品を手に入れられるように、在庫品を前もって準備しておくことが多いです。しかしもし、想定よりも売れ残ってしまったら……。消費期限を過ぎた食品在庫の大量廃棄はフードロスとして注目されていますが、アパレル業界においてもファッションロスという言葉が出てきています。

ファッションロスとは、新品やまだ着られる洋服が流行が去るなどの理由で廃棄されること。サーキュラーエコノミーの実現には廃棄物を無くす事が重要です。過剰では無くても在庫品は必ず出てしまいますが、それを廃棄せずに、リペアやリユースしたり、最終的にはリサイクルできればサーキュラーエコノミーの実現に繋がります

まずは過剰在庫を減らし、それでも廃棄されてしまう在庫品をリサイクルすることが大切です。 

リサイクルの原料を集められる

小売店を営む企業などは、製品を使う消費者と直接接点を持っています。使い終わった製品をリサイクルするためには、どこかにまとめて集める場所を設けるのが効率的です。

また、上記で説明したファッションロスは一般消費者も高い意識を持って取り組むべき課題。その受け皿としても企業が窓口となって、回収ボックス等を設ければ一定の数量を集められます。

企業のリサイクル取り組み事例

それでは具体的にどのような取り組みが企業では行われているのでしょうか。実際の事例をご紹介しましょう。

フードロスをリサイクル

スーパーやコンビニでは、どうしても食品が売れ残ってしまう場合があります。これらを生ごみとして廃棄するのではなく、食品リサイクル工場に運んで飼料、肥料などにする取り組みをしている企業もあります。

食品だけではなく、使い終わった食用油もリサイクルされています。リサイクルの方法次第では、石鹸やインクなどの原材料にリサイクルできる場合もあります。

使用済み携帯電話のリサイクル

携帯電話などの電子製品には産出量が少ない金属(金、銀、銅、コバルト等)が使われています。これらを廃棄してしまうと、貴重な資源を無駄遣いすることに……。資源を回収し、リサイクルすることで、新たな金属採掘による森林伐採などの環境破壊防止 にもつながります。
その他、リサイクル工程における副産物や本体のプラスチック素材も、何らかの形で再利用されています。

ノベルティのおもちゃをリサイクル

子ども向けの商品にはノベルティとして、プラスチック製の小さなおもちゃがついてくる場合も多くあります。しかしおもちゃに飽きてしまったり、壊したりしてしまった場合に簡単にごみとして捨てられてしまうかもしれません。
配布したプラスチックのおもちゃを回収し、リサイクルによって別のプラスチック製品として有効活用する取り組みをしている企業もあります。

工程端材のリサイクル

製品を製造するメーカーでは、原料の一部が端材として排出される場合があります。端材になる理由としては、加工ロス、品質不良などさまざま。一度も使われずに廃棄されてしまうという意味ではもったいない存在といえるでしょう。
排出された工程端材を使用して別の製品に活用することで、ごみの廃棄量を減らし、資源の有効活用につなげることができます。

着なくなった洋服のリサイクル

洋服は私たちの生活になくてはならない製品です。常に使うものである反面、着なくなる洋服も一定量でてきてしまいます。そんな古着を店頭で回収して着られるものはリユースに、着られないものはリサイクルによってもう一度繊維素材として生まれ変わらせる取り組みをしている企業があります。
なお、帝人フロンティアの「エコペット」も、その一部は洋服のケミカルリサイクルを経て作られる再生ポリエステル繊維です。

まとめ

この記事で紹介したように、多くの企業が積極的にリサイクルの取り組みを行っています。リサイクルの対象は、金属、プラスチック、洋服などさまざまです。リサイクルに取り組む企業がさらに増えていけば、資源の循環を最大限にするサーキュラーエコノミーの完全実現も遠くない未来でしょう。

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