循環型社会をめざす取組みの1つ「リサイクル」とは?基本を徹底解説

リサイクルとは

地球温暖化や資源の枯渇など、環境問題は私たちが直面する最も深刻な課題の一つといえるでしょう。この状況を改善し循環型社会を目指す取組みの1つが「リサイクル」です。 実は私たちが排出するごみの中には、リサイクルすることで新たな価値を生み出せるものがたくさんあります。
この記事ではリサイクルの基本的な考え方やメリットなどを分かりやすく解説します。

リサイクルとは?

そもそも「リサイクル」を正しく説明できる人は意外と少ないかもしれません。リサイクルの定義や歴史をおさらいしてみましょう。

リサイクルの定義と目的

リサイクル(Recycle)とは、廃棄物等を「原材料やエネルギー源」として有効利用することを指します。また、有効利用を実現するための製品設計や回収なども「リサイクル」の取り組みの一つです。
私たちは生活する上で、多くの廃棄物を排出しています。これらの廃棄物の発生を抑制し、資源の循環的な利用を促進することで環境への負荷を最小限に抑えることがリサイクルの目的です。

知っておきたい3R+Renewable

天然資源の消費を抑制し、環境への負荷を低減する循環型社会をめざすための中核となる取組みに3R(リデュース・リユース・リサイクル)があります。
平成12年に制定された循環型社会形成推進基本法において、循環型社会の構築を進める上で3Rの優先順位が明確にされています。具体的には、最初に廃棄物の発生を抑制(リデュース)し、次に廃棄物を再使用(リユース)し、3番目に廃棄物を再生利用(リサイクル)するというものです。廃棄物を減らすことが最重要であるということを意識しておくことが大切になります。

最近では、3Rに新たな取り組みとしてRenewable(リニューアブル:再生可能)が追加。製品の原料として、再生可能な素材を積極的に用いることです。

3R、3R+Renewableについては、以下のコラムでも詳しく解説しています。

日本のリサイクルの歴史

日本では1980年頃のバブル景気により廃棄物の量が大幅に増加し、ごみの最終処分場が不足する事態となりました。そのため1990年頃から、次々とリサイクル関連の法律が整備されていきます。現在ではその効果もあり、廃棄物の量が減少傾向を示してきています。

リサイクルのメリット

リサイクルに取り組むと、どのようなメリットがあるのか整理してみました。

限りある資源の有効活用

金属資源、紙資源、石油資源……、私たちは生活の中で多くの資源から作られた製品を使っています。しかしこれらの資源は、地球上に無限に存在するわけではありません。リサイクルを活用して限りある資源を無駄なく使うことで、私たちの社会を未来まで持続させることができるのです。

環境汚染の抑制

もし、ごみが自然環境の中に放出されてしまうと環境を汚染してしまいます。ごみが自然環境に放出されてしまう原因はさまざまです。例えば、街中でのポイ捨て、風で飛ばされてしまった、など……。
ごみを適切に廃棄したり、リサイクルしたりすることが最も重要ですが、環境に廃棄されたごみを回収してリサイクルによって資源として利用することも環境汚染の抑制につながります。

二酸化炭素排出量の削減

例えば石油・石炭などの新たな資源を採掘する場合、ごみを焼却する場合のどちらも二酸化炭素を排出することになります。大気中の二酸化炭素濃度の増加は、地球温暖化につながることに……。
使い終わった製品をごみとして捨てるのではなく、それを分別してリサイクルすることによって新たな資源の採掘を抑制したり、ごみの処分量を減らしたりすることで、排出される二酸化炭素の量を減らすことができます。

リサイクルの促進に向けて

地球環境の保全に対して多くのメリットがあるリサイクル 。さらに促進していくためには、どのような取り組みを進めたらよいのでしょうか。

個人や地域のリサイクル

多くの自治体では単純焼却されるごみを減らし、リサイクルなど有効活用できるように分別回収や資源回収をおこなっています。個人が意識的に協力することでリサイクルの促進につなげられるでしょう。住んでいる自治体や地域によって分別方法が異なるため、事前に確認しておくことも必要です。
その他、個人でもできるリサイクルへの取り組みは以下の記事でも紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

企業のリサイクル推進活動

企業が製品を生産する過程では、個人よりも多くのごみが発生します。そのため、リサイクルへの取り組みも積極的に行う必要があるといえるでしょう。例えば、使用後にリサイクルをしやすい製品設計やリサイクル原料を主軸に据えたビジネスモデルの創出なども重要といえます。

ちなみに、帝人フロンティアの「エコペット」 は回収されたペットボトルや繊維くずをマテリアルリサイクル・ケミカルリサイクルで生まれ変わらせた繊維です。

まとめ

廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効活用する「リサイクル」。多くの環境問題に直面する中で、限りある資源の消費抑制や地球温暖化抑制につながるなど、循環型社会を目指す取り組みのひとつです。

リサイクルは個人でも企業でも身近な所にある取り組みです。まずは、ごみの発生を減らすこと、使い終わった製品などを再利用すること、そしてごみを分別・リサイクルすることを心掛けてみてはいかがでしょうか。

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