日本のCO2排出量はどのくらい? 影響を与える分野や未来の削減目標を詳しく解説
地球温暖化が深刻化する中、二酸化炭素(CO2)排出量の削減は世界共通の課題となっています。日本ではどのような活動から多くのCO2が排出されているのでしょうか。排出源を理解すれば、CO2排出量を削減するためのアクションをとりやすくなります。
この記事では、日本のCO2排出量の現状と、その原因となる要因について詳しく解説します。
日本のCO2排出量の現状と課題
まずは、CO2排出量の多いエネルギーに着目して、日本の現状がどのような状況になっているのか確認していきましょう。
日本のCO2排出量は年間9億6400万トン
現在、日本のエネルギー起源CO2の排出量は年間9億6400万トン(2022年のデータ)です。約10年前の2013年の排出量が年間12億3500万トンだったことを考えると、徐々にではありますが排出量を削減できていることがわかります。
なお、全世界でのエネルギー起源CO2の排出量は年間336億トン(2021年のデータ)で、日本が排出するCO2の割合は約3%です。
2030年には年間6億8000万トン以下が目標
日本ではエネルギー起源CO2排出量を、2030年までに45%削減(2013年度比)することが目標に掲げられています。年間排出量に換算すると約6億8000万トンであり、2022年のCO2排出量からさらに3億トン近く減らすことが必要です。この目標は2021年10月22日に「地球温暖化対策計画」として閣議決定され、温室効果ガス全体で50%削減の高みへ調整することも宣言されています。
この高いハードルを越えていくためには、政府、企業、個人が抜本的な変革に乗り出す必要が求められています。
日本のCO2排出量の内訳
より深く日本のCO2排出量を知るためには、どこから多くのCO2が排出されているかを知ることが大切です。CO2排出量の多い部門の上位3つをピックアップして解説します。
エネルギー転換部門が40.5%(2022年度)※
エネルギー転換部門とは、輸入ないし生産されたエネルギー源を使いやすいように転換する産業の分野です。例えば、さまざまな発電方法で電力を生み出す産業や原油を精製してガソリンや軽油、重油などを生産する工程などが当てはまります。
CO2排出の源である石油資源を直接扱う部門であるために、必然的に排出割合が大きくなるのです。排出割合が大きいからこそ、この部門に関係する積極的な取り組みが大きな影響を与えることにつながります。
産業部門が24.4%(2022年度)※
2番目に多い産業部門は、一次産業や二次産業に携わる工場や事務所が対象です。多くのエネルギーを消費する分野だからこそ、CO2排出割合も多くなります。エネルギー転換部門と並んで、重点的に取り組みを推進したい分野といえます。
運輸部門が17.8%(2022年度)※
運輸部門のCO2排出割合も決して低いものではありません。一見、運送業などの法人が対象のように思えるかもしれませんが、実は自家用車での移動のような個人行動も含まれます。身近なところにもCO2排出量を抑制すべき行動が潜んでいるのです。
日本のCO2排出量を減らすための方針
日本ではCO2排出量を減らすための方針として、「グリーン成長戦略」を掲げています。14の重点分野を設定し、さまざまな対策を打ち出しています。
エネルギー関連産業
エネルギー関連産業では、主にエネルギー源を化石資源から転換する戦略が進められています。洋上風力産業、燃料アンモニア産業、水素産業、原子力産業はいずれも稼働中にCO2を排出しないエネルギー産業です。実現するための高いハードルはありますが、技術革新を含めて乗り越えられるように取り組まれています。
輸送・製造関連産業
輸送・製造関連産業には多くの重点分野が設定されています。自動車・蓄電池産業、半導体・情報通信産業など、私たちの生活に必要な産業が網羅されています。近い将来、これらの産業に対する変革を身近なシーンで見かけることも多くなるでしょう。
家庭・オフィス関連産業
家庭・オフィス関連産業では住宅・建築物産業/次世代型太陽光産業、資源循環関連産業など、輸送・製造関連産業よりもさらに身近なものが対象になっています。
例えば、資源循環関連産業にはバイオマス素材や再生材、廃棄物発電などが含まれています。「エコペット」は廃ペットボトルや繊維くず・衣料品をリサイクルによって生まれ変わらせたポリエステル素材。資源循環関連産業に当てはまる素材です。
まとめ
私たちが日常生活を送る中で、どうしても二酸化炭素(CO2)排出に関わる行動をしています。日本のCO2排出量は徐々に減ってきているものの、まだまだ目標達成には程遠い状況です。重点的に進める分野は絞られてきており、高いハードルを越えるために皆で取り組んでいくことが必要でしょう。