マテリアルリサイクルとは?資源を有効活用して、今すぐにできる環境への貢献!

マテリアルリサイクル

地球環境の汚染や地球温暖化にもつながるごみ排出量の増加問題……。マテリアルリサイクルは、資源を循環させる経済(サーキュラーエコノミー)の実現に向けて注目されている技術の一つです。

この記事ではマテリアルリサイクルの定義や具体的な特徴について詳しく解説しています。

マテリアルリサイクルとは

マテリアルリサイクルとはどのようなリサイクル手法なのでしょうか。詳しく解説していきます。

廃棄製品を新たな製品にリサイクル

マテリアルリサイクルとは、廃棄物を原料として再利用し、新たな製品に再生する方法のこと。古紙を再生紙に再生したり、廃アルミ缶を新たなアルミ缶に再生したりといったマテリアルリサイクルは、以前から行われていました。

最近注目が集まるプラスチック製品のマテリアルリサイクルには、廃ペットボトルからパレット(荷役台)や卵パックを生産する、廃ペットボトルを粉砕・溶解して作ったペレットを使用しポリエステル繊維を生産する方法などがあります。

また、ウールやコットンなどの天然繊維は、染色後の製品を使用するため色の制限などはありますが、回収した繊維を裁断・粉砕してからもう一度糸として紡ぎなおして新しい製品に生まれ変わらせることもできます。

サーキュラーエコノミーの実現に必要

現在、世界では生産して消費する一方通行型の経済活動(リニアエコノミー)から、持続可能な形で資源を利用する循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行が求められています※。サーキュラーエコノミーを実現するためには、使い終わった製品を廃棄するのではなく、リデュースやリユースにより廃棄物を減らしたり、リサイクルによって再利用したりすることも重要。その中でもマテリアルリサイクルは既に多くの技術が確立されている方法です。

また、リサイクル手法にはマテリアルリサイクルだけではなく、ケミカルリサイクルもあります。これらのリサイクル手法も駆使しながら、今後はあらゆる素材のリサイクル比率を高めていくことが求められています。

サーキュラーエコノミーやケミカルリサイクルについては以下のコラムでも詳しく解説しています。

マテリアルリサイクルの特徴

マテリアルリサイクルにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

省エネルギーでリサイクルできる

マテリアルリサイクルは廃棄物を破砕したり溶融したりする必要がありますが、化学的な処理を施す必要のあるケミカルリサイクルと比べると、少ないエネルギーでリサイクルができます。消費されるエネルギーが少なければ、排出される二酸化炭素の量も少なくなるでしょう。

また、再生紙やアルミ缶が昔からリサイクルされていたように、さまざまな素材に対して多くのリサイクル手法が確立されています。高効率かつ低環境負荷でリサイクルできる有用な方法です。

プラスチックのリサイクル率が課題

マテリアルリサイクルができる素材は、紙や金属、ガラス、プラスチック、繊維とさまざまです。紙や金属は、日本でも昔からマテリアルリサイクルが進められており、なじみ深い人も多いはずです。

実際に古紙の回収率は81.6%(2023年のデータ)※1、アルミ缶のリサイクル率は97.5%(2023年のデータ)※2と高い数字を誇っています。一方で、廃プラスチックのマテリアルリサイクル率は21%程度(2021年のデータ)※3で、まだまだ低い状況です。今後は廃プラスチックのリサイクル率を上げていくことが必要といえるでしょう。

繰り返すと品質が低下しやすい

どのような素材であってもマテリアルリサイクルにおける分別過程では、微細な異物が混入してしまうことがあります。異物はリサイクルした後の製品の性能に影響を与えやすく、繰り返しリサイクルをしていくと徐々に所定の品質が得られなくなってしまうことも……。

分別技術やリサイクル技術の向上、ケミカルリサイクルの併用などにより解決が求められるポイントかもしれません。

まとめ

マテリアルリサイクルは資源の節約、廃棄物の削減、環境負荷の低減など、持続可能な社会を実現するために不可欠な取り組みです。金属や紙のマテリアルリサイクルは従来でも取り組まれていました。

しかし、これからはそれに加えて、プラスチック製品のマテリアルリサイクルをより推進していかなければなりません。さらなるマテリアルリサイクルの普及によって、地球環境問題の解決に大きく貢献することが期待されています。

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