再生プラスチックのメリットとは? 環境問題に貢献するサステナブルな選択
環境意識の高まりとともに、一般生活者の間で「サステナブルな消費」への関心が高まっています。再生プラスチックは従来のプラスチックに代わる選択肢として、注目を集めている素材です。
この記事では、再生プラスチックの定義やメリット・デメリットについて解説します。
再生プラスチックってなに?
そもそも再生プラスチックとはどのような素材なのでしょうか。定義や作られ方について解説します。
廃プラスチックから再生されるプラスチックのこと
通常のプラスチックは、限りある石油資源を原料にして作られます。石油資源の消費は資源の枯渇や二酸化炭素の排出につながるため、あまり無駄に使用するのは環境に優しくありません。
廃棄物削減にもつながるので、廃プラスチックを原料に作るプラスチックとして、再生プラスチックが注目されています。
再生プラスチックの製造方法
再生プラスチックには、再生ポリエチレン、再生ポリプロピレン、再生ポリスチレン、再生ポリエステルなどさまざまな種類があります。種類によって細かな製造方法は異なりますが、大きく分けるとマテリアルリサイクルとケミカルリサイクルの2種類です。
マテリアルリサイクルはプラスチックごみ、例えばペットボトルなどを粉砕、溶解して新たなプラスチック製品に再生します。一方、ケミカルリサイクルは廃プラスチックを化学的に分解し、新たなプラスチック製品にリサイクルする方法です。
再生プラスチックのメリット
再生プラスチックのメリットを改めて整理してみましょう。
自然環境の保護
一般的なプラスチックは自然環境に放出された場合、長期間分解されずに残り続けてしまいます。放置されたプラスチックは海に流れ出ると海洋プラスチックとして漂流。さらに紫外線や波力により微細化され、マイクロプラスチックへと形を変えます。マイクロプラスチックは生物の体内に取り込まれたり、有害物質を吸着したりするなど環境への多大な負荷をかける可能性も……。
廃プラスチックを回収し再生プラスチックとして生まれ変わらせることで、自然環境の保護につながります。
資源の有効利用
プラスチックは私たちの生活になくてはならない存在です。そのようなプラスチックの原料を石油から廃プラスチックに変えることで、資源の有効利用につながります。限りある石油資源の消費を抑制できれば、私たちの子ども達が資源不足に陥る可能性を少しでも減らせるでしょう。
廃棄物の削減
1年間に廃棄されるプラスチックの量は世界中で3億トン(2019年時点)以上 ※1です。世界人口の増加に伴って、プラスチック排出量も年々増加しているといわれています。これらの廃プラスチックを再生プラスチックにリサイクルできれば、廃棄物の削減につながるのです。
しかし、リサイクル率は9%程度 ※2とまだまだ少ない状況のため、再生プラスチックの普及が求められています。
再生プラスチックのデメリット
環境への貢献などを中心に多くのメリットがある再生プラスチック。しかしデメリットがゼロというわけではありません。
コストは高い
再生プラスチックは原料に廃プラスチックを使いますが、コストが安いわけではありません。これは石油資源を原料とした場合に比べて、廃プラスチックの回収、運搬、分別、洗浄、原料加工などの生産工程が増えるためです。
しかし、そもそも石油資源は自然が生産してくれたもの。本来であれば自然に対して払うべきコストを払っていないという見方もできるでしょう。これからは廃プラスチックを再生し、資源として利用していくことが大切です。
品質の維持が難しい
一般的にマテリアルリサイクルで作られた再生プラスチックは、原料になる廃プラスチックによって品質が左右されてしまいます。そのため、再生プラスチックの品質を維持するためには適正な管理と技術力が必要です。
とはいえ、ペットボトルなどはすでに再生プラスチックを使用したものがすでに流通しています。このように、適切にリサイクルされたものを原料として使用することで、再生プラスチックの品質低下を防ぐことができます。
また、再生ポリエステルである「エコペット」は、そうした管理によるマテリアルリサイクルのみならず、高い技術力を用いた生産やケミカルリサイクルの活用などにより、品質の安定化を実現しています。
生産量がまだまだ少ない
再生プラスチックは原料に回収された廃プラスチックを利用する素材です。つまり廃プラスチックの回収量が、再生プラスチックの生産量に直結するといえます。
しかし、現在はまだ廃プラスチックのリサイクル量が少ないため、再生プラスチックの生産量も多くはありません。今後、さまざまな課題を克服し、再生プラスチックの生産の割合を増やしていくことが必要です。
まとめ
再生プラスチックは、資源を有効活用し廃棄物を削減することで、環境問題に貢献できるサステナブルな素材です。まだまだ技術革新の余地はあるものの、未来の世代のために再生プラスチックの普及を推進していくことが、私たちに課せられた使命といえるでしょう。