持続可能な社会に向けて!日本の取り組み事例や私たちにできること
近年、ニュースのみならず日常生活の中でも「持続可能な社会」や「SDGs」という言葉を耳にする機会が増えています。これらは私たちや未来の人々が地球で生活する上で欠かせないキーワードです。そして、今日本では持続可能な社会に向けて、さまざまな取り組みが実施されています。
そこで今回の記事では、持続可能な社会とは何か、そして持続可能な社会を達成するためにどんな取り組みが行われているのかについて紹介していきます。
「持続可能な社会」とは?
人間による大量生産・大量消費・大量廃棄を中心とした活動に伴い、地球環境は悪化の一途をたどっています。豊かな自然は有限であり、人間が自分本位な資源の消費を続けていけば、地球環境は限界を迎えてしまいます。私たちは、衣・食・住や教育など人間にとって必要不可欠である社会的ニーズを満たしながら、地球環境が限界を迎えることのないように、地球と人間の共生を考えて暮らしていかなければいけません。
そこで注目されているのが「持続可能な社会」です。持続可能な社会とは、地球環境が適切に守られた状態で、現在や将来の世代の社会的ニーズが満たされる社会のことを言います。
続可能な開発目標「SDGs」
持続可能な社会と共に話題に挙げられるのが、2015年の国連サミットで採択された国際目標「SDGs」(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)です。2030年までに「誰一人取り残さない」多様性と包摂性のある、持続可能でより良い社会を目指し、17のゴールを設定しています。
1. 貧困をなくそう
2. 飢饉をゼロに
3. すべての人に健康と福祉を
4. 質の高い教育をみんなに
5. ジェンダー平等を実現しよう
6. 安全な水とトイレを世界中に
7. エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8. 働きがいも 経済成長も
9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
10. 人や国の不平等を亡くそう
11. 住み続けられるまちづくりを
12. つくる責任 つかう責任
13. 気候変動に具体的な対策を
14. 海の豊かさを守ろう
15. 陸の豊かさも守ろう
16. 平和と公正をすべての人に
17. パートナーシップで目標を達成しよう
持続可能な社会に向けての日本の取り組み
日本におけるSDGs達成度の現状
国連による非営利団体、持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)の2023年における発表では、日本のSDGs達成度は166カ国中21位となっています。取り組むべき問題はまだ多く残っており、ゴール別で見ていくと特に「ジェンダー平等を実現しよう」「つくる責任、つかう責任」「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」が依然として深刻な課題として挙げられています。
社会としての日本の取り組み
持続可能な社会に向けて、日本は現在どのような取り組みを行っているのでしょうか。
ジェンダーに関する取り組みを見てみると、政府は「第 5 次男女共同参画基本計画」や「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2022」などに基づいた女性活躍・男女共同参画の取組を推進しており、今年2023年には日本で初めて「G7男女共同参画・女性活躍担当大臣会合」が開催されました。
また、脱炭素社会に向けて、2050 年カーボンニュートラルの実現を目指しています。そのためには、温暖化対策は経済成長の制約ではなく、産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長につながるという発想の転換がポイントとなります。
目標12「つくる責任 つかう責任」の観点から、食品ロスも重要な課題です。食品ロス量を 2030 年までに 2000 年度比で半減となる 489 万トンまで低減することを目標に、持続可能な生産・消費の促進が提言されています。
さらに海洋プラスチック問題に際して、日本は「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を主導しています。これは「2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す」というものです。
持続可能な社会に向けて!私たち個人にできる取り組み
ジェンダー・バイアスに意識を向ける
SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」を達成するには、個人個人の意識改革が必要不可欠です。
ジェンダー・バイアスとは男女の役割に固定観念をもつことで、「男なら〇〇、女なら〇〇」のような偏った思考を意味します。このような考え方は例えば家庭や職場における仕事の役割分担など、身近な場所にまで多く現れるため、日々の生活の中でこのようなバイアスのかかった考え方をしていないか注意が必要です。
また、ジェンダー・バイアスは多様な性的マイノリティの人々への偏見にも繋がります。自分の身の周りにもいるはずの当事者の人々を傷つけてしまうのを防ぐためにも、自分の中に先入観がないか意識し、正しい知識を身につけるようにしましょう。
フードロスを減らす
目標2「飢饉をゼロに」や目標12「つくる責任 つかう責任」の観点においては、フードロスが大きな課題となっています。食は私たちの毎日の生活と切り離せないからこそ、毎日の調理や食事の中でロスを出さないことが重要です。
家庭内においては、食べきれる分の食材を購入し、食材をできるだけ長持ちするような保存方法を取るようにしましょう。食品の購入時における商品選びも重要です。最近は、賞味期限の近い商品や、見た目が悪いなどの訳あり品が値下げされていることもあります。
また、近年注目されているのがフードバンクです。フードバンクとは、食品企業の製造過程において「見た目が悪い」「賞味期限が近い」などの理由で市場に流通できなくなってしまった食品を福祉施設等へ無料で提供する団体や活動です。一般家庭の人々においては、家庭で余ってしまった食品をフードバンクなどへ寄付する「フードドライブ 」を通して貢献することができます。
資源を大切に使う
目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」や目標13「気候変動に具体的な対策を」に関わるのが、資源の問題です。現在エネルギーの多くは化石燃料によるものですが、化石燃料は燃焼時に温室効果ガスのひとつである二酸化炭素を大量に放出するため、地球温暖化を進行させる要因となってしまっています。
そこで、家庭においてはエネルギーの無駄な消費を削減することが重要です。例えば、水や電気は家庭に届くまでの間に多くのエネルギーを必要とします。ひとりひとりが節水・節電などを意識し、限られた資源を無駄遣いしないようにしましょう。
積極的にリサイクルする
資源循環を目標としたリサイクルの先にある循環型社会こそ、持続可能な社会と言えます。リサイクルは、目標12「つくる責任 つかう責任」、13「気候変動に具体的な対策を」、14「海の豊かさを守ろう」、15「陸の豊かさも守ろう」など広く環境に関わる課題にとって重要なポイントです。
個人においては、まずごみを適切に処分することが重要です。ごみの正しい処分方法を把握し、決してポイ捨てせず、リサイクルできるものはできるものとして分別を行うようにしましょう。
またそれだけでなく、リサイクル製品を選ぶことも個人にできる活動のひとつです。リサイクルに取り組んでいる企業の商品を購入するなど、商品を選ぶ際にもリサイクルを意識してみてください。
リサイクルによって生まれたポリエステル繊維「ECOPET」
ポリエステル繊維などのプラスチックは今や私たちの生活に不可欠な素材です。しかしその一方、多くのプラスチックは石油を原料としているため、有限である石油資源の枯渇を引き起こしたり、焼却廃棄によって地球温暖化を進行させたりと、地球環境にとって無視できない弊害を引き起こしています。
そこで近年、持続可能な社会を妨げないよう配慮されたプラスチック素材の開発が進められています。そのひとつがリサイクルポリエステル繊維「ECOPET」です。従来の多くのプラスチックは石油を原料としていますが、「ECOPET」は使用済みペットボトルや従来廃棄されていたポリエステル繊維くずや衣料品を資源とし、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルの工程を経てできた素材となっています。
持続可能な社会への注目が集まる中、生産者・消費者の双方で環境に配慮された商品を志向する傾向が高まっています。身の回りの商品、そしてその素材のレベルからも、「持続可能な社会」について考えてみませんか?